デニムの浪漫(2)

サージ織りがド・ニームへ、そしてデニムが生まれた。
ニーム市の博物館には、19世紀初頭の女性用の上着が残されていますが、それを見ると、インディゴブルーに染められた糸を表側に、無染色の糸を裏側に使って菱形模様を織り出したサージ生地で、それはまさにデニムそのもの。
このニーム産の綾織り生地を指す「サージ・ド・ニーム」の、産地を示す「ド・ニーム」が一人歩きして、デニムと呼ばれるようになったのです。
かつてのニームでは、毎日のように織物マーケットが開かれ、仲介業者が集めた品物を、ローヌ河に通じる運河で待ち受けている船に積み込んでジェノバへ送り出していました。
そしてジェノバ港からは大型の貨物船が仕立てられ、アメリカへ向けて、デニムは新天地へと向かう沢山の人々の夢と共に船出して行ったのです。
デニムが着るだけで人の心を弾ませるのは、そんなドラマが秘められているせいなのかも知れません。

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