作務衣ファンからのお便り(2)

「日本の伝統や文化を外国人に教わるなんて…」
「ドイツの得意先の社長が商用で来日したので、お土産に絹の作務衣を二着差し上げたところ大喜び。帰国してからも夫婦で着ていると礼状がきましたよ。ゆかたよりスマートだし、むこうの人も馴染みやすいみたいですね」(55歳・広告代理店経営)
そういえば、日本に日本文化の研究や武道修行に来た外国人の方からご注文もよくあります。自分の国の伝統や文化を外国の人に教わるということですか。
これではいけない!と私どもの普及活動にも一段と力が入る次第です。
「作務衣での外出、最初は勇気がいったが…」
「作務衣を着て外出するのに、最初は勇気がいった。でも、一度そのまま電車に乗ってからは平気になり、どこへでも出かけられる。絹古彩の鉄紺に羽織を合わせて、先日友達の結婚パーティーに出席したら注目のマトとなって、もう病みつきになりそうです」(31歳・公務員)
恥ずかしいことはありません。これからも積極的にご着用になり、モテまくって下さい。
「定期的にカタログを送って欲しい」とご住職。
あるお寺のご住職さまから、お電話をいただきました。
「地方のせいか、本格的な作務衣を求める機会がない。お宅の品は実に心がこもっていて素晴らしい。カタログを定期的に送って欲しいのだが…」
ご安心下さい。『作務衣かたろぐ』のご購読はいつでも受付中です。
ご叱責やご提案――ありがたいことです。
今後も作務衣についてのご意見やご感想、開発へのご提案やアドバイス、さらに詩、短歌、俳句、書、絵などの作品投稿も大歓迎です。また、できますれば作務衣姿のお写真をご同封いただければ、これ以上ない喜びです。

作務衣ファンからのお便り(1)

ご愛用の皆様からさまざまなお便りが届いています――
伝統芸術を着る会の作務衣や藍染などの作品は、北海道から沖縄まで、時には海を越えて外国にまで届けられています。そのご愛用の皆様から、着用の感想やエピソード、そしてご提案などが、毎日のように当会に送られてまいります。その中からいくつかをご紹介してみましょう。
寄せられるお便りの封を切る時、なんだかワクワクしてしまいます。お届けした作務衣が、皆様の暮らしの中でどんな彩りとなっているのか…それを思う時は、ちょうど娘を嫁に出した親のような気分なのです。
「作務衣のおかげで茶道教室の看板おやじに…」
「女房が自宅でお茶を教えていて、金曜の夜は、若い娘さんたちに我が家は占領されてしまいます。そんな広い家ではないから、どうしても私の姿は目に入ります。
こちらは週末ぐらいのんびりしたくてひどい格好してまして、女房にいわせると、どうもジジくさいとか。
で、女房と相談して武州の作務衣を着るようになったところ、これが若い娘さんたちに大好評。茶席のお客役として招かれたり、外で会ってもあいさつされたり…。
いつも同じじゃみっともない。今度は絹の作務衣を着てみようか――と女房に言うと、『仕方ないわね』といつもは固い財布のヒモをゆるめてくれます。
だって私は、今では、大沢茶道教室の“看板オヤジ”なんですから…。
今のうちなら大丈夫ですので、次々と新作を発表してください」(52歳・会社員)
こんなほほえましいお便りを受け取ると、嬉しくなってしまいます。新作、頑張ります!

あったか作務衣 暖(あったかさむえ だん)

新素材の蓄熱効果で常に抜群の暖かさ
作務衣の進化の役に立つものであれば、森羅万象のあらゆる垣根を越えて探し求め、採り入れることを指標とした「作務衣進化論」。それは私どもが作務衣の開発に着手する際の大きな基本理念のひとつです。
「冬には冬の作務衣を」というテーマが掲げられれば、洋の東西、歴史の古今、分野の相違を問わず、時間を惜しまず研究するのが信条。その開発のための奔走の結実として出会ったのが、「トレヒート」という新素材でした。
この素材、太陽の光エネルギーを吸収し、熱に変えてたくわえ、その保温性により心地よい暖かさが味わえる、まさに科学の力の賜物。これを使えば、究極の冬の作務衣ができるのでは…新素材を前に、スタッフが密かに悦に入ったのは言うまでもありません。
進化も遂にここまで…究極の「暖の作務衣」が完成
そしてこのたび、完成の日の目を見た、和の装いと現代科学の結晶とも呼ぶべき新作は、野暮な重ね着など決してさせない、まさに「暖の作務衣」。
新素材により作務衣の中の温度が高まり、常にぽかぽかと暖かいことはもちろん、原綿練り込み方式と呼ばれる織りによって、冬場に付き物の嫌な静電気も防止し、しかも自宅での洗濯も遠慮なくしていただけます。
さらに優れた抗ピル性で毛玉を防止し、いつまでも美しい外観を保てるという特徴もあり、いやはや当会の作務衣もここまで進化したかと、スタッフも感慨深げでありました。
想像を超えるその暖かさを、ぜひご体験下さい。

遠赤キルト作務衣 日和(えんせききるとさむえ ひより)

冬には冬を楽しむ作務衣をまといたい。
冷えるからといって作務衣はちょっと…などと言っているうちはまだまだ。寒い冬も作務衣を着る。これが作務衣党の心意気というものです。そんなとき活躍するのが、暖かい作務衣の代表格の一つ、キルト作務衣です。
部屋で暖をとるのもいいのですが、やはり四季を楽しむという作務衣の精神からすれば、思い切り障子を開け放ち、その季節をそのまま身体で受け止める気概を持ちたいもの。
キルト作務衣があれば、寒さを楽しむ余裕もできる…
そう、暖かいキルト作務衣があれば、北風を楽しむのも案外いいなぁ…と思えるものなのです。
綿100%の裏地の中に軽量のポリエステル綿をはさみこんで、肩から足首までしっかりと加工されたキルティングで寒風もなんのその。さらに新作は、暖かさ抜群の遠赤外線加工を施していますから、その抜群の保温性は推して知るべし…です。
また、帯電防止加工の裏地を使用しているため、この季節につきものの、あの嫌なパチパチ感がありません。寒い冬こそ、新作のキルト作務衣で行動的に!

キルト作務衣 鉄紺と羽織(きるとさむえ てっこんとはおり)

当会の発足とほぼ同時に開発され、冬の作務衣としてすっかり定番となってしまった「キルト作務衣」に待望の新作が登場しました。
表地に風合いの良い綿つむぎ、そして裏地は滑りの良いタフタ、この間にポリエステル綿をはさみこんで表から裏までを通して縦刺し。
つまり、従来のキルト作務衣とは違い、はっきりとキルティング加工を表面に見せ、それをデザイン化しています。縦刺しにより中綿がしっかり挟まれて暖かさもアップ。洗濯しても中綿の縮みはほとんどありません。
色は深みのある上品な鉄紺、縦は同色の糸で刺し、衿と肩、袖口は白の刺し糸。直線の組み合わせによるすっきりした刺し柄となっています。
重さやごわごわ感はまったくなく、むしろ、スマートで軽やかな感じのキルト作務衣に仕上がりました。

キルト作務衣 利休鼠、利休白茶(きるとさむえ りきゅうちゃ、りきゅうしらちゃ)

利休好みの彩り“ねずみ”をキルト作務衣に復元しました。
緑みを帯びた中明度の鼠色――新しいキルト作務衣の色合いは“利休鼠(りきゅうねずみ)”です。
端正で微妙なこの利休鼠の色調は、おなじみの“利休茶”と並んで「粋」好みの江戸人に愛好され、大変な人気を博したと言われています。明治後期になって、この鼠は流行色として再びスポットを浴びてきました。
北原白秋作詞の「城ケ崎の雨」という歌にも「利休鼠の雨が降る…」とうたわれていますので、ご存知の方も多いかも知れません。
草木染調の染液に漬けて染め上げた糸と本藍染の糸を使い、伝統的な交織技法で織り上げたこの古色の彩り。まさに「利休好み」と呼ぶにふさわしい色調です。
ぼてぼて、ごわごわ感なし。格調や渋さも楽しめます。
表地は、木綿100%。そして同じく木綿100%の裏地の中に軽量のポリエステル綿をはさみ込んでキルティング加工を施しています。つまり、昔で言うところの“綿入れ”という感じ。しかし、昔ながらの綿入れのような、重くてごわごわした感じはまったくありません。
作務衣は着たいけど冬の寒さがちょっと辛い…という方。ただ暖かいだけではなく、作務衣ならではの格調や渋さが楽しめる、嬉しい“冬の作務衣”です。

高機能作務衣コート(こうきのうさむえこーと)

まさに、あり得るべきものでした。
当会でも、作務衣の開発を始めるにあたり、専用コートの要・不要は十分に議論を尽くしました。しかし、当時はまだ作務衣が特殊な装いであったこともあり、コートまでセットにするべきではないと判断したのです。
そして現在、すっかり大人となった作務衣は多くの人の暮らしに溶け込み、万人の認める装いとして愛用されるに至っています。
となれば、逆に作務衣のためのコートを発表しなければ、作務衣を愛用していただいている会員の方に礼を逸するのではないかと考えた次第です。
このコートを着用なさる方は、真に作務衣を理解され愛されている方ということ。誇りをもってお召し下さい。

紳士 和装コート(しんし わそうこーと)

冬をお洒落に暖かく、お出かけ姿が一味違う。
作務衣に羽織るも良し、着物に重ねるも良し、びしっと決めて、もう一人のあなたを演出するこの「和装コート」が着実な人気を博しています。
特に、お正月は和服をお召しになる方が多いせいか、冬号には欠かせない一着。
このコートを着用することにより、和服ならではの様式美が決まってきます。

正藍染インバネス 浪漫(しょうあいぞめいんばねす ろまん)

素材は、非常に高価で手に入りにくい剣道袴の最高級生地を仕様。色は、これまた武州が誇る正藍染と徹底的にこだわってみました。
写真でごらんになると、ちょっと重たさを感じられるかもしれませんが、実際に着用なさるとその軽さに驚かれるでしょう。また、袖がありませんので、実にラクに着られ、動きも自由自在。外套であることを忘れられてしまうほどです。
私どもでは、完成した作務衣はいずれも発表前にさまざまな層の方に実際に着ていただき、ご意見を賜っておりますが、このインバネスの試着は大変な反響を呼びました。
「懐かしいなぁ…」という声。「映画の主人公になったみたい」とか「かっこいい!」という声など、とにかく大評判。その場でゆずって欲しいとの声が続出したくらいです。
ご好評は嬉しいのですが、前述のように、形・素材・染めに徹底的にこだわり、縫製職人に音を上げさせたほどの労作。それ故に、残念ながら限定数での販売とさせていただきます。
どんな装いにもなぜかピタリと決まる!
作務衣の上にはもちろんですが、各写真のように、どんなお召し物にもなぜかピタリと決まってしまうのも、このインバネスの特徴。ですから年齢も問いません。
この冬、佳き時代の香りをいっぱいに、行き交う人たちの驚きの表情を存分に楽しんで闊歩してください。気分はもう、浪漫舞台の主人公――。
いま、古色蒼然が新しい。佳き時代の香りを秘めて、冬の冷気を蹴散らし歩く。気分は文士か、はたまた…まさに快感の一着。

インバネスについて

懐かしさに拍手、その新鮮さに歓声!試作段階から話題騒然――あの幻の外套<インバネス>が蘇りました。
いつものように開発会議。その日のテーマは「冬、作務衣の上にはおるコート」でした。
普通の和装コートでは知恵がない。では、どうする?座が静まり返った時、“長老”と呼ばれている一人が沈黙を破りました。
「インバネスはどうだろう?」
聞き慣れぬ言葉に百科辞典がめくられます。そして、そこに現れた左のような絵にスタッフ全員の目が吸い寄せられていったのです。
スコットランドで生まれ、欧米を席巻した外套(コート)
インバネスとは、19世紀中ごろ欧米で盛んに着用された外套のことで、スコットランドのネス川河口の町インバネスを発祥の地とするため、こう呼ばれるようになりました。
たけが長く、袖なしで取り外しのできるケープが身ごろについてきます。
日本でも、明治20年ごろに伝わり、大正、昭和の初期まで「とんび」あるいは「二重まわし」などと呼ばれ愛用されていました。現在では、その姿はまったく見ることができず、現存すら危ぶまれていました。
その軽さにビックリ、動きも自由自在!
しかし、この幻となった外套の復元には、その原型が何としても不可欠。四方八方に手を尽くしてやっと一着のインバネスを横浜のテーラー経由でお借りすることができました。
この貴重なインバネスを手本として、それを越えるレベルで復元したのが、ここにご紹介する「正藍染インバネス」なのです。