樹木染め 天竜杉染め(3)

煮出した染液に何回も漬け込んだ上に…
杉丸太の樹皮が、一枚一枚手によって剥がされていきます。そして、この樹皮をさらに細かく刻んでいき、刻まれた皮を布袋に入れて煮詰めます。すべて手作業、屋外にて豪快にグツグツと煮詰め、杉皮の液を煮出すのです。この液を絹の布でこして染液の完成です。
この染液に綿糸を幾度となく漬け込んで染めるわけですが、色付けや色落ち防止のための特殊な媒染がなされ、樹木染めの糸が完成します。
この糸を使い、いかに織り上げるか。
作品の真価は次の織り工程にかかっています。樹皮で染めた糸でタテ、ヨコ織ったとしても、それはただ茶色がかった平板な布地にしかなりません。
緻密な計算と芸術的な感覚により、まさに樹皮を着るが如き作務衣に仕上げなければならないのです。

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