染料藍と草木染め

あの“樹木染め”で絹の作務衣を仕立てました。
大変な反響を呼んだ樹木染作務衣「天竜」。当会としましては、樹木というイメージもあり、あくまで秋から冬へかけての季節商品としてご紹介いたしました。綿で総裏つきという仕立てもそのためだったのです。…ところが、お買い求めいただいた会員の方から「春にも着たい」とか「正絹で作って欲しい」などのご要望が殺到。急遽、産地の天竜と連絡をとり、樹木染めによる正絹作務衣の開発を決定。やっとの思いでご紹介できるまでにこぎつけた次第です。
これからの季節ならやはり“絹”がいい!
染液は綿作務衣と同じく杉皮を煮出したものですが、絹に染めるとまたひと味もふた味も違った作品となりました。面の素朴さに対して、絹ならではの光沢や風合いが、いかにも春らしく優雅に仕上がっています。優劣はつけがたく、お好み次第というところですが、これからの季節なら、やはりこの「絹天竜」に軍配を上げざるを得ないでしょう。
樹木と絹――と聞くと一見ミスマッチのように思えますが、桑の葉を食べた蚕から得られる繊維と大地に根をはった樹木から得られる染液の組み合わせは、まさに自然の一体化。自然を纏う感覚は、さらに立体的でさえあります。絹の大小さまざまな三角断面のプリズム効果から生まれる輝きが加わり、それは、ふり注ぐ太陽の光の中でひときわ印象的に映える作務衣の誕生です。

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