江戸の群雲絞りを再現!(1)

江戸時代に考案され大変な人気を博した染め技法
やっぱり武州藍の職人、秋元一二さんはただ者ではありませんでした。作務衣開発のため、竜巻絞り染めに取り組んでいただいた秋元さん、秘かに、もうひとつの伝統的な絞り染めに挑戦していたのです。
濃淡あり、ぼかしあり―変化に富んだ藍染模様。
それが、江戸時代に考案され、参勤交代の大名たちのお土産として欠かせないものになったほど人気を博した“叢雲絞り染”(むらくもしぼりぞめ)という技法でした。
「作務衣に合う柄じゃないと思ったけど、同じ絞り染だからやってみたということサ」と相変わらず淡々。ところが染め上がってみると、本人もびっくりの出来栄え。確かに作務衣の柄とはいえませんが、これを眠らせておく手はないということで、夏でもあることだし女性向けのゆかたに採り入れることとなりました
この絞り染の特徴は、絞り器を使うこと。12メートルもの布地を、高さ70センチほどの絞り器にぎゅうぎゅうと押し込んでシワを付けます。そのシワが細かく複雑なだけに、染め上がった模様も濃淡あり、ぼかしありと実に立体的で変化に富んでいます。
【写真】
・絽に織られた綿布地一反(12メートル)を縫い合わせ袋状にする。染めた後、この糸を支障なく抜きとるために独特の手縫いが必要。この作業を<くぐし縫い>という。
・袋状になった布地を、一反すべて木製の絞り器に押し込んでしまい固定する。この蛇腹状になった絞りが色の濃淡やぼかしを生み出すことになる。
・そのまま藍ガメで染める。染めては空気酸化という過程を15回程繰り返していく。染め上がりに糸をほどくと、右のようなみごとな<叢雲>模様が出来上がる。

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