正藍染綿絽ゆかた 蒼風

伝統の染め技法を採用した綿絽のゆかた
ここ数年、ゆかたが大変なブームとなっています。特に若い女性の間では、大胆なまでに派手なプリント模様のゆかたが大流行しています。この傾向は決して悪くはないのですが、古くより受け継がれてきた“ゆかた”の様式美を考えると、ちょっと首をかしげたくなります。
そこで、当会では万人を唸らせるような本格高級ゆかたの開発に取り組んでまいりました。昨年の叢雲に続いて今年の新作は蒼風(そうふう)です。
その端麗さに行き交う人の目はクギ付け。
素材は綿。織りは五本絽。そして染めは五十年ぶりに復活させた伝統の技<竜巻絞り染>です。意図的にムラを作り、濃く染まる部分と淡く染まる部分が独特の縞模様を作ります。これが何とも艶っぽくて粋。そのくせ何ともいえぬ気品が漂います。
男性用は十回染めで濃い目に。女性用は五回染の水浅葱(みずあさぎ)―おそろいでお召しになれば、その色合いはさらに絶妙。行き交う人の目をクギ付けにしてしまいます。

先染サマーウール作務衣 涼峰

「良いのもは、やはり良い」
「盛夏号の巻頭?サマーウールしかないでしょう」と、スタッフが一言。数日前の企画会議に参加した際には、「二年続けて同じ素材の作務衣を巻頭特集にするのは如何なものか」との当方の指摘をめぐり論争したのが嘘のよう。それはサマーウール作務衣が、“良いものは、やはり良い”というゆるぎない地位を築いた証でもあったのです。
カタログにおける決め事までも一蹴してしまう魅力…
私ども伝統芸術を着る会では、「作務衣かたろぐ」の巻頭は、新作作務衣をご紹介することを決め事としています。そのために重ねてきた、この十五年の努力が、他には類を見ない作品の数となって、「作務衣の専門館」という称号までいただくようになったのです。その十五年の間につちかった誇りや実績、カタログの巻頭には新作をという決め事までも、“良いものは良いのだ”と軽くいなしてしまうほど、サマーウール作務衣は、夏の作務衣の完璧な完成形として存在しているのです。
人気の秘密は『夏の作務衣』としての完璧な完成度
その人気の高さは、昨夏、機能性や意匠はそのままに、神色として発表した『涼感』が、シリーズ史上空前のヒットを記録したことにも表れていました。
急きょ、会員の方々へのリサーチを行った結果、その秘密は<夏の作務衣>としての魅力が、完璧にこの一着に集約されているからだと云うのです。●原色を避けた明度の高い中間色を採用した彩りは夏にぴったり●雨や水、コーヒーも弾く強力な撥水加工で、雨の日もまた愉し●小さく折りたたんでもシワにならない防縮・防シワ加工のおかげで旅行の際にも重宝●強い撚糸のクレープ糸を採用しているため、ケバ立ちを抑え、ホコリが付きにくい…と、枚挙にいとまがない多彩な魅力が、ケタ違いの人気に結びついたのでした。
先染めによる手法により清々しい表情を実現
ここまで愛され望まれる作務衣なら当方としても異存なし。今年の盛夏号の巻頭もサマーウールが飾ります。彩りは、夏の萌える新緑に映える、“しもふり浅茶”。発色を良くし、味わいを深めるために糸を先に染め上げ、しもふり調の織りによって生地の表情を醸し出し、ご覧のように実に涼しげな彩りと相成りました。

サマーウォーキング作務衣

“ちょっと”のつもりの散策が、つい足を伸ばしてしまう。そんな軽やかな気持ちにさせる一着です。
心も身体も思わず弾む、麻の風合いの涼感、そして着心地の快適さ。活動的な季節に合わせ、動きやすく、汗をかいても遠慮なく丸洗いOK。もちろん、おしゃれも抜かりなし。簡単着脱の替え衿が、散策の気分を盛り上げます。
季節の旬と愛でる心の贅沢。今まさに旬のサマーウォーキング作務衣で、快適に味わいたい。
いのち萌えるせっかくの夏。ここはひとつ、“精神の開放”と“旬の発見”を戸外で楽しむべく、出かけてみませんか。
夏が暑いのは自然の営み上あたりまえ。だからこそ、颯爽と胸を張り、「季節を楽しむ!」という凛とした思いこそ、旬を愛でるための基本。そうすればいつもの小路にも趣を感じ、緑の葉のそよぐ姿にも、旬の息吹を感じるはず。
そんなときこそ、待望の新作サマーウォーキング作務衣が真骨頂を発揮します。“これを着て散策に出ると、もうちょっと足を伸ばしてみようかな、という気分にさせてくれるから不思議だよ”と、ご試着いただいた方からも好評をいただき、まさに夏を制する“旬の作務衣”として当会スタッフがこの夏イチオシの逸品です。
清涼感あふれる麻の風合い、軽やかな着心地に加え、シワにならない、丸洗いできる、しかもお洒落な替え衿付と、その様相はまさに旬づくしの作務衣。この夏あなたを変える一着です。

森林浴作務衣 壮快(2)

繊維に森の力を付加した画期的な技術との出会い…。
そんなおり、私どものよい相談役になってくれている繊維会社の研究員の方から連絡があったのはまさに天佑。森の香りで気分を爽快にする生地加工したのがあるんだが、一度話を聞いてくれないか、というのです。とるものもとりあえず駆けつけて見せていただいたのが「フォレスト」という繊維加工でした。
それは、森の中を散歩すると心身ともにリフレッシュできるという森林浴の効果を着るだけで味わえるという画期的なもの。ヒノキから抽出した天然エキスを繊維に付加することにより、森林浴・抗菌・防臭などの効果を生み出す、まさに夢の天然機能だったのです…。その自然の恵みを存分に生かすために、新作の素材は夏のウールを採用。通気性、吸汗性ともに優れたウールは、爽やかな森のイメージを付加するのには実に最適でした。
また、解放感あふれる森林浴効果を高めるために意匠にもひと工夫。通常ならばボムで適度な締め付け仕様を施すズボンの裾を、2段階調節のボタン留めにすることにより、締め付け感をなくし、足元からの通気性を高め、よりリラックスできる状態を醸し出すようにしました。さらに彩りは季節を問わず人気の高い黒。木漏れ日がさざめく森の光を受けて、渋くきらめく様子がまるで目に浮かぶよう…。森の力で癒される一着、この夏ぜひお試しください。

麻混生成肌着

透かしの美学を持つ絽の作務衣なら肌着は、もう、作務衣の一部です。
作務衣に肌着を――私ども伝統芸術を着る会では、このことを一貫しておすすめしてまいりました。最初は綿の肌着で用が足りていましたが、絹素材の肌着が大変な評判となり、肌着を合わせる方が急増いたしました。
麻を30%加え5分袖に吸汗性も抜群!
そしてこの度、絽の作務衣の登場となった次第です。普通なら夏だから…と、肌着の開発はおあずけとなるところなのですが、“絽”となると話は別。それどころか、絽に合わせる肌着は不可欠です。そこで開発されたのが、絽の作務衣専用ともいうべき「麻混生成肌着」です。
様式美とはいえ、いくらかでも涼しく肌ざわりの良いものと、綿を基布として麻を30パーセント加えました。さらに、これまでの肌着より袖を短くし5分袖に仕立てています。藍染に実によく調和します。絽の地から透かして見える肌着の白さは視覚的にも涼しげ。さらに、すててこの機能と同様に吸汗性があり、着脱のすべりもよくなります。

本藍染すかし絣作務衣

まなざしに涼を呼ぶ。
袖を通すのが待ち遠しくなる八代目の新作は、本藍染めが醸し出す色合いと、透かしの加減が実に見事。真っ白な肌着を合わせれば、凛とした白さが透かされて、清烈なまでの涼感が目に飛び込んできます。
生地は糸の芯まで入り込むように念入りに藍で染め上げるという手法により色落ちしにくいため、汗のために洗濯回数の多くなる季節でも安心です。
個性的な意匠をまとい季節を存分にご堪能下さい
特筆したいのは、海に舞う波を思わせる、しばり絣を用いた縦の意匠。手作り感覚あふれる自然な織りが、シャリ感を高めるために配された霞のような横の織りとの相乗効果により、惚れ惚れするような個性を醸し出しています。
大好評の本黒作務衣にメッシュ機能を加えた玄人好みの一着です。「メッシュ織り本黒作務衣 玄」はこちら!

波筬織作務衣 潮騒(1)

袖を通せば、静かなる波の成せる技か、まさに明鏡止水。心穏やかに春がゆく。
春の海・・・穏やかな陽光を受けて、静かにさざめく波を見つめていると、いつのまにか時を忘れ、心身が解きほぐれていくのが分かる。その情景と心の開放感を、作務衣で表現できないか・・・。そんな心風景から生まれたのが、「波筬織(なみおさおり)作務衣潮騒」です。
波のごとき美しさを素材と織りで醸し出す・・・またまた難題を抱えた生産現場でしたが、生地を織上げる織機の心臓部ともいえる筬(おさ)と呼ばれる機具に工夫を重ねることにより、春の海のイメージを見事に再現することに成功しました。織りの豊かさを存分に楽しめる・・・職人一同も推奨の、自信あふれる一着です。
職人泣かせのこだわりから生まれた波筬織作務衣。
通常の織物は、縦糸がお互いに平行で、横糸が直角に交差して布を織り上げていくという旧知の手法のため、仕上がりの安心感はありますが、作務衣の専門館である当会として物足りない・・・。
だからこそ、新たな織り創りに飽くなき挑戦を重ねて参りました。ましてや今回は、皆さま待望の春の新作のひとつ・・・凡庸なモノではご紹介するにも及び腰になるというもの。
そこで、前述いたしましたように、“春の海”のごとき表情を持った稀有な作務衣を創ろうと、生地を織るための織機の構造から見直すという職人泣かせの展開となった次第でございます。
次回は、製作の詳細に迫っていきます。

サマーウール作務衣(新色)

絶品のサラサラ感で清々しく。
当会ではお求めいただいた作務衣に対するご意見やご要望、叱咤激励を会員の方々から実に数多くいただきますが、この作品ほど、発表当時からほとんど絶賛の声のみで埋め尽くされるケースも珍しいのではないでしょうか。
洋装の世界では注目されていたサマーウールを早い段階から作務衣に採用し、業界に大きな話題を巻き起こし、会員の方々からやんやの喝采をいただいたことが、つい昨日のことのように想い出されます。待望久しい声にお応えして今年もお披露目の時期がやって参りました。
ソフトな質感と着心地
サマーウール作務衣の特性と云うと、まず何と申しましても、着用時の実にソフトなサラサラ感。肌に優しく、涼感もたっぷり、爽やかさが自慢です。
そして多彩な高機能の付加。いわく、ウォッシャブル加工によりご家庭での丸洗いが可能。形状安定でシワになりにくく、縮みにくい。そして汗の季節にうれしい消臭効果などなど・・・これからの時期に手放せなくなること請け合い。

正絹羽二重作務衣 光帝

追随を許さないその雅な光沢
“羽二重”と云えば、江戸妻、紋付き、燕尾服などの第一礼服として用いられ、気高い格調をその輝きに秘められた素材。
この一着は、その素晴らしい光沢と、滑るような正絹の感触を存分に愉しめる、いわば“絹の帝”とも呼ぶべき、当会のこれまでにない革新の一着です。
羽二重の光沢を愉しむということは、その生地に秘められた栄光と賞賛を愉しむということ。そこで、その格調高く美しい光の世界を、より堪能できるよう、意匠も奇をてらうことは避け、作務衣の基本に忠実に従いました。