人と物の付き合い考 拘り

人をもてなす心を礼といいます。
礼を尽くす、これこそが尽くされる人にとっては最高の贅なのです。そして、人をもてなすときには、もてなす側になんらかの「拘り(こだわり)」があるでしょう。
“馳走”という言葉の意味は、客をもてなすために奔走すること、つまり拘ることであり、高価なもの、贅沢なものより、その行為の有り難さを”御馳走”というのです。
昨今、天然、無添加、有機など、素材本来の持ち味に、人の技という行為を融合させ、その拘りを表する代表的なもてなしの料理として蕎麦があります。
最近では、蕎麦打ちも職人の領域から一般へと広がり、お客様が訪れたときに、実際に手作りの蕎麦でおもてなしをする方も増えています。
そこでは、素材であるそばの実の産地や、そばの花の清楚な美しさ、香りなどを語らい、実際にそばの実を碾いて、打って、ゆで揚げ、調理してさしあげます。
お客様は石臼や本格的な手の込んだ手法に驚きとともに舌鼓をして、改めてその真心のこもったもてなしに感謝されるでしょう。
真心と大切な時間を掛けたとき、そこには客人の喜びがあり、客人の喜びはそのまま主人の至福の時でもあります。
このもてなす側の拘りは、趣味の世界へと話を広げ、お互いの団欒のときを一層楽しく味わい深いものにしてくれるものなのです。
ささやかでありながら奥の深い趣味「蕎麦打ち」、充実した一日を体験したい方には是非お奨めします。

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