武州交織作務衣開発秘話(1)

初心に戻り、綿と藍。草木との交わりが生み出す風趣の彩りに、思わずため息ひとつ。伝統様式を踏まえた一着。そこに新しい何かを…。
「サマーウール、ジュンロン、コーデュロイ、スエード…伝統芸術を着る会の巻等新作は横文字が多いね」という声が寄せられます。それは批判というよりも、よく頑張ってるね――という内容なのですが、やはり少し気にかかるものです。
確かに、作務衣の開発を積極的に進めていけば必然的に、このような素材の導入は起こり得ることで、時代や機能に即応した作務衣づくりとしては、当会ならではの仕事と胸を張れます。しかも、これらの作務衣がすべて会員の皆様に好評なのですから…。
ただし、ひとつだけ肝に銘じておきたいことがあります。それは、新しい作務衣の開発に気をとられ、古き佳き装いとしての伝統様式の見直しをおろそかにしてはいけないということです。
初心忘れるべからず…。そういうことです。10年ひと昔、まさにその機至れり。
というわけで今回の巻頭新作は作務衣の伝統様式をしっかりと踏まえた一着にしたいと考えました。もちろん、ただ昔のまんまというわけではありません。そこに新しい何かを、そうプラスアルファを加えた作務衣づくりを目指しました。
そうなると、作り手はあの二人しかいません。

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